今思えば、自分が子どもを授かるまでは本当の意味で理解できていなかったこと。
一人ひとりの生徒に親がいて、その親が自分と同じくらいの愛情を我が子に対して抱いているということ。
この仕事を始めて、生徒の家族になりたいと本気で思っていた20代。
親の愛情には到底叶わないし、家族になんかなれないと壁を感じた30代。
そして今、一人の人間の親になって、違う形で接することができることに気付き始めた。
自分がいつも娘に対して持つ感情を、目の前の生徒の親がこの子に対して持っているという至極当然な気付き。
決して親にはなれないけど、同じくらい幸せを望んでいる親の目線で何ができるのか。
親が、近すぎる距離、その愛の深さゆえにできないこと。
今は、実の親だからできないことが、親の気持ちを持った他人である自分にはできるのではないかと思っている。